ある日のお昼どき、外から店内をご覧になっている男性がいらっしゃいました。
お店に入るのを迷っている様子だったので「よろしければ見ていかれませんか」と声をおかけすると「ありがとうございます。実は私、以前ここに住んでいたんです。もうだいぶ前になりますけど、こんなに素敵なお店になったんですね」。
偶然にも、その男性は以前この場所にご家族でお住まいになっていた方。 この日はたまたま近くに来る用事があり、自分が住んでいた場所がどうなっているか見てみたい、と足を延ばしたとのこと。アートハウスがある場所は、キャットストリートから一本入った静かな住宅地。長年住んでいる方も多い、落ち着いた街です。
店内をご案内していたとき「あっ」と男性がステンドグラスに近寄り「実は私、ここに住んでいたときにステンドグラスを作っていたんですよ。ここでまたステンドグラスが見られるなんて」。そして店内にあるアンティークのステンドグラスのひとつをじっくりとご覧になり「……この細やかな絵付けはかなりの職人技ですね。いまはなかなかここまで作れる職人はいませんよ」。
男性は定年退職後にスペインやトルコでステンドグラスの勉強をし、帰国後は住居の一部に工房も作ったとのこと。帰りがけに「自分が住んでいた場所にこんなに素敵なお店が出来て、表参道にくる楽しみが増えました」とうれしいお言葉をいただき、ステンドグラスがとりもつ不思議なご縁を感じたのでした。
表参道店
南